そばの製粉方法「割り抜き」とは?

そばの実の形状には、殻のついた「玄そば」と、そこから殻をキレイに取り除いた「丸抜き」、さらに玄そばを割り抜いて殻を取る「割り抜き」の3種類があります。
それぞれそばにしたときに味わいや風味が異なるので、違いを知っておくとよい判断材料になります。
今回はその中から「割り抜き」についてご紹介していきます。
「「丸抜き」とは?そば製粉において知っておきたい知識。」はこちら
そば製粉について知っておきたいこと
そばは、米や麦などその他穀物と同じく、脱穀して細かく製粉することで加工しやすくなり、おいしく食べることができます。
中でもそば製粉はさまざまな方法が用いられ、製粉方法によって風味も味わいも異なるのが特徴です。
そもそもそばの実は、いちばん外側の「外皮」と呼ばれる硬い殻、「甘皮」と呼ばれる種皮、「胚乳」、「胚芽」で構成されています。
このうち「胚乳」の部分がそばの実の多くの面積を占めています。
それぞれで栄養が異なり、「甘皮」や「胚芽」には良質なタンパク質やポリフェノールの一種、ルチンが豊富に含まれています。
そば製粉とは、そんなそばの実を細かく砕いて粉状にする作業のこと。
その際、どのような状態のそばの実から砕くのかで、風味や味わいが異なっていきます。
割り抜きのそばの実とは?
冒頭でもご紹介したように、そばの実の形状は「玄そば」「丸抜き」「割り抜き」の3種類に分けられます。
玄そばは殻がついた状態のそばの実のこと、丸抜きは玄そばの三角形を維持しながら殻だけをキレイに取り去った状態のそばの実のこと、そして割り抜きは玄そばを挽き割ることでそばの殻をある程度取り除いた状態のそばの実のことです。
割り抜きのそばの実は、玄そばや丸抜きと違い三角形の形をとどめておらず、またそば殻がある程度残っているのが特徴です。
かつての石臼挽きの時代からそば製粉が機械化され、玄そばを挽き割って殻を取り除く割り抜きが多く用いられるようになりましたが、昭和50年代頃から丸抜きの製法が開発され、現在では丸抜きのそばの実も一般的になっています。
丸抜きのそば粉は上品で洗練された味わいになるのに対し、割り抜きのそば粉はえぐみが少し残るものの、そばらしい力強い風味がしっかりと感じられ、「こちらのほうが好き」という方も少なくありません。
ぜひそれぞれ食べ比べて味わいの違いを感じていただきたいです。
「風味と香りはそば粉で決まる!知っておきたいそば粉」はこちら
メーカーによって異なる解釈
本田商店では「割り抜き」と呼んでいる製法ですが、ほかメーカーさんでは「挽き割り」と呼ばれることもあり、その解釈はメーカーさんによっていろいろとあるようです。
割り抜き(挽き割り)でも丸抜きでも、そばの実の階層をすべて挽き込んだものを「挽きぐるみ」と呼ぶ場合と、割り抜き(挽き割り)のそばの実を使ってそば粉にしたものを「挽きぐるみ」と呼ぶ場合もあるよう。
さらに、玄そばの状態で挽き込んだそば粉を「挽きぐるみ」と呼ぶ場合もあります。
ちなみに本田商店では、外側の硬い皮はボソボソとした食感になるため取り除き、甘皮・胚乳・胚芽を挽き込んだものを「挽きぐるみそば粉」と呼んでいます。
丸抜きか割り抜きかは商品によって使い分けています。
米や麦がさまざまな製粉過程を経て粉になるのと同じく、そば粉になるまでにもさまざまな方法があります。
「そば製粉で風味や香りが全く異なる!「挽きぐるみ」とは?」はこちら
わかりやすく、普段食べているお米にたとえるなら、そばの外皮がお米でいうところのもみ殻。
もみ殻をだけを取ってつるんとした状態のお米を「玄米」と言いますよね。
これがそばのいう、丸抜きの状態です。
お米も、そばも、そこからさらに製粉します。
玄米をさらに精米すると白米となります。
お米の甘皮の部分(一番栄養があるところ)を取り除きます。
そばは、製粉すれば1番粉~3番粉、甘皮部分まで細かく分別し、そばの種類、好みによって使い分けられます。
殻に包まれた中の実を得るために、つるんとした状態で得るのか、殻ごとつぶして得るのかの違いとなります。
つるんとした状態であれば、外皮は混ざりませんが、殻ごと潰すと外皮も一部一緒に混ざってしまいます。
弊社のそばは「挽きぐるみ」といって殻ごと潰したそばの実を丸々使うことで、そばの栄養や風味を感じていただけるよう
自家製粉を行いながら、美味しい製粉方法を探し求めています。
こだわりのおそば屋さんに行かれた際には、丸抜きを使っているか割り抜きを使っているか、挽きぐるみかどうかなど、ぜひ気にして召し上がってみてください!