
初物を食べると長生き?いつから?またなぜ?
初物を食べると長生きできるってホント!?古くからの言い伝えに迫る
「初物を食べる」ことは、江戸時代から親しまれてきた日本の文化のひとつ。
初物を食べると長生きできるともいわれ、縁起の良さも魅力です。
今回はこの初物の噂について調査してみました。
初物とはいつから? またなぜ長生きできるといわれているの?
そんな疑問に迫ります。
初物とはどんなもの?
そもそも初物とは何かというと、旬の季節にとれる最初の食物のこと。
広辞苑では、
「①その季節に初めて出来た穀物・野菜・果実など。」
「②その年に初めて食べるもの。」
「③まだだれも手をつけてないもの。」とされています。
旬の季節の中でも、まだ誰も手をつけていない頃に収穫した野菜や穀物、魚介類などはとくにおいしいとされ、
「新そば」をはじめ、「初ガツオ」や「新茶」などがそれにあたります。
江戸っ子が大好きだった初物
初物の文化は江戸時代に広まったといわれています。
今のように農耕技術が発達していなかった当時、さまざまな農作物は旬の時期にしか食べられないのが普通でした。
そのため食べたい野菜があれば旬の時期が訪れるのを待つしかなく、「初物」の文化が根付いたといえます。
江戸っ子の初物好きはやがて旬を先取りするだけでは終わらなくなります。
藁を使って掛け小屋を作り、堆肥が発酵する熱で空気を温めるという、今でいうビニールハウス栽培とも呼べるような方法で、寒い季節にも暑い季節の野菜を作っていたのだそう。
これほどまでの努力をして初物が食べたい、初物を食べるのが粋だ、とされていた文化があり、そんな初物好きの人のことを「初物食い」と呼んだようです。
「江戸時代から現代へ育まれた豊かな文化」についての記事はこちら
初物を食べると寿命が延びる!?
初物を食べると、「寿命が延びる」ということも当時は信じられていました。
「初物七十五日」という言葉もあり、広辞苑でも「初物を食えば、75日生きのびるという意。」と紹介されています。
なぜ75日となったのかは諸説あるようですが、
中でも昔から「75日」が区切りの日数として使われていたことが大きいといわれています。
「人の噂も七十五日」ということわざがあるように、昔から75日という日付は基準値として用いられていたようですね。
そばの初物をいただこう
江戸っ子といえばそば好きで知られているので、もちろんそばも初物がいい、という認識だったに違いありません。
そばの旬である秋には「秋新」と呼ばれる新そばが登場します。
香り高くて風味もよく、ぐっとおいしいおそばがいただけるとあって、多くの江戸っ子が心待ちにしていたよう。
当時、この時期にはあちこちのそば屋からいい香りが立ちのぼり、お店の前には行列ができていた、との記録も残っているようです。
初物を食べると寿命が延びる、というのはさすがに迷信ではありますが、心に留めて信じて食べるひと時はまた楽しいものです。
食のエンターテイメントのひとつとして、「初物食い」を楽しむのもオツですね。
当店、本田商店でも新そばの販売が始まりました。
さらに香りのよい今しか味わえないおそばを是非ご賞味ください!
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