
旨みが倍増!?江戸時代から作られる「寒晒しそば」とは?
日本各地でさまざまな発展を遂げ、独自の食べ方がなされているそば。
そんなそばの食べ方のひとつ「寒晒しそば」はご存知でしょうか。
冷たい水につけて乾燥させた玄そばを用いて作られるそばのことで、風味や甘みが抜群なのです。
寒晒しそばの発祥は?
寒晒しそばは江戸時代から作られており、「極上のそば」として献上されていたこともある高級なおそばのひとつです。
冬の厳寒期に冷たい水につけた後、冷たい風にさらして乾燥させることで日持ちをさせることができ、夏でもそばを食べられるようになったのだそうです。
この寒晒しそば、地方によっては仕込む時期が違うよう。
信州なら1月20日頃に玄そばを川の水に入れ、2月3日に引き上げて寒風にさらして作っていきます。
一方、蔵王では1月20日頃に川の水に入れて2月4日に引き上げ。
岐阜の飛騨高山では1月20日頃に川の水に入れて2月13日に引き上げるようです。
また北海道の新得町では、1月22日頃に川の水に入れて1月29日に引き上げる、という工程で作られています。
水にさらす時期はその年の状況や気温によっても異なるようです。
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寒晒しそばのおいしさのひみつ
寒晒しそばが作られるようになったのは、秋にとれるそばの実を乾燥させて保存食としたことに由来しますが、これによってそば自体が甘みをぐっと蓄える、というのもポイントです。
さらに舌触りもよくなり、もちもちとした食感に仕上がるのだとか。
ただし、もちもち食感に仕上げるのには相当な技術が必要とのこと。
単に寒晒しにするだけではなく、細かなところまで気を遣っているようです。
長野で発足された「八ヶ岳蕎麦切りの会」は、江戸時代から作られていた寒晒しそばを現在に伝える活動を行いつつ、幻の「献上寒晒しそば」も提供している団体。
こちらで寒晒しそばを作る際には、長野の美しい清流に玄そばを浸し、毎日気温を確認しつつ一つひとつ手で返しながら浸していくという、なんとも手間のかかる作業を行なっています。
清流に浸しすぎるのも、乾燥させすぎるのもダメで、常に玄そばの状態を確認しておかなければならない寒晒しそば。
出来上がったそばは7〜10日ほどで完売してしまうほど人気なのだそう。
ぜひ一度食べてみたいものですね。
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同じようでちょっと違う「雪蔵熟成そば」
寒晒しそばと同じく、玄そばを低温にして完成まで導くそばのひとつに「雪蔵熟成そば」というものがあります。
これは、北海道・旭川市にて開発されたそばで、玄そばをコンテナに入れ、そのコンテナごと雪をかぶせることで低温で熟成させるそばのことです。
寒晒しそばと同じく、一般的なそばよりも甘みと香りが際立つのだそう。
低温で長時間乾燥させたり熟成させたりする製法は、長野や北海道など厳寒地ならではのそばの楽しみ方といえますね。
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