かけそばはせっかちな江戸っ子の気質から誕生した!有名な童話「一杯のかけそば」にも迫る

そばといえば

 

「ざるそば」「もりそば」

 

とおっしゃる方は多くいます。

 

たしかに、キュッと角が立ったそばをそばつゆにつけてずるるっと吸い込んだ時の、そばの風味とつゆの醤油との相性はまさに絶妙。

一方で、温かいだしをかけていただく「かけそば」も、だしの風味がそばをやさしく包み込み忘れがたいおいしさ。

誕生のいきさつをはじめ、有名な童話「一杯のかけそば」など、かけそばにまつわるエピソードをご紹介します。

 

かけそばの歴史

 

もともと麺状のそばは、江戸時代にはつゆをつけて食べるざるそばスタイルで流通していました。

それが江戸っ子のせっかちな気質により、つゆをつけて食べるのは面倒という価値観が生まれ、ぶっかけて食べたことが「かけそば」の始まりとされています。

かけそばスタイルだと器ひとつで完結するので店側もラクだったことが相まって、全国的に広まっていったようです。

最初は冷たいつゆをかけて食べられていましたが、寒い時期にはつゆを温めて食べるようになり、現在のようなだし汁を使ったかけそばスタイルへと進化。

なお、江戸時代中期に書かれたそばの専門書『蕎麦全書』では、かけそばは“下品な食べ方”として紹介されていたようです。

 

かけそばのトッピング

 

かけそばは一般的にはつゆをかけただけのものか、温かいだし汁に薬味のネギをトッピングする程度のシンプルなものですが、お店や地域によってかまぼこやワカメなどちょっとした具材をトッピングする場合もあります。

 

これに卵をトッピングすれば「月見そば」、油揚げをトッピングすれば「きつねそば」、揚げ玉をトッピングすれば「たぬきそば」、エビ天などをトッピングすれば「天ぷらそば」といった具合に、トッピングする具材によって名称が変わっていきます。

 

ちなみに、温かいそばであってもゆで上げた後は一度しっかりと洗って冷水でしめ、角をキュッと立たせるのがおいしく作るコツ

 

伸びやすいので、素早く食べ終わるのがポイントです。

 

 

「一杯のかけそば」ブーム

 

1988年に発表された栗良平による童話「一杯のかけそば」をご存知の方も多いのでは?

 

大晦日のそば屋に入ってきた女性と2人の男の子。

季節はずれのチェックの半コートを着用したその女性は、かけそば1人前をおずおずと注文します。

そば屋の女将はそんな女性と子どもたちの姿を見て「かけ一丁!」と厨房へ伝え、主人も親子に目をやって何も言わず大盛りのそばを提供。

3人は一杯のかけそばを分け合いながらおいしそうにたいらげて店を後にしました。

その翌年、翌々年の大晦日にもやってきて、一杯かけそばを注文する親子。

女将と主人もすっかり心待ちにしていた矢先、親子はぴたっと来店しなくなるのです。

それから14年後の大晦日。

小さな子どもだった男の子2人はスーツを着た立派な青年へと成長し、和服姿の婦人と3人で再びそば屋へと現れます。

なんと男の子1人は銀行員に、1人は小児科医となっていたのです。

「あの時、一杯のかけそばに励まされ、3人手を取り合って生き抜くことができました」と感謝する青年。

今度は3人で3杯のかけそばを注文し、女将と主人は涙で頬を濡らしながら「かけ3丁!」と注文を受けたという話です。

この童話が新聞で取り上げられたのをきかっけに、国会議員が衆議院予算委員会審議においてほぼ全文を朗読したことで「誰もが涙する童話」として話題に。

ワイドショーなどでもどんどん取り上げられるようになり、映画化まで果たす一大ブームとなりました。

けれども、この童話の違和感を指摘したタモリさんの発言、さらには作者のスキャンダルが報じられたことで、半年ほどでブームは終焉することになりました。

 

シンプルながらほっこりおいしいかけそば。

温かいだし汁なので、大晦日をはじめ寒い日に食べるのにぴったりですね。

こだわりの薬味で、だしとそばのおいしさを存分に味わってみてください!