石臼挽きで製粉したそば粉がおいしい理由ってなに?

石臼挽きのそば粉といえばおいしいもの、という定説があります。
石臼挽きのそば粉を使用していることを売りにしているおそば屋さんも多く、お店選びの判断基準のひとつにしている方も多いよう。
石臼挽きのそば粉はなぜ人気があるのでしょう。
石臼挽きが美味しいのか?そば粉に仕上げるための「製粉方法」はこちら。
石臼ってどんなもの?
石臼とは、円形になった石を重ね合わせ、上の石を回転させることで間に挟まれたものが引き裂かれ、細かく挽くことができる道具。
日本独自の道具だと思いがちですが、じつは世界各国で使われており、その始まりは紀元前500年前のギリシャまで遡るといわれています。
日本で石臼が用いられるようになったのは、ギリシャでの起源からかなり時を経てからのこと。
中国から持ち込まれ、仁治2(1241)年の文書にてその存在が認められています。
なお、日本最古の石臼は九州・大宰府にある「観世音寺」にあるものだとされ、推定400kgという巨大なもの。
大豆を挽いて豆腐等にするのに用いられたとされています。
「そば粉から作られるフランス郷土料理「ガレット」って?」はこちら
石臼挽きの魅力
そばはとても繊細な穀物で、熱を加えると風味や香りが損なわれるため、製粉時にはなるべく熱を加えずに粉砕することが求められます。
その点において、石臼挽きはとても優秀。
回転速度が低速で熱が発生しにくく、そばが持っている風味や食感を損ないにくいのです。
一方機械挽きの場合には生産効率は上がるもののそばに熱が移ってしまうので、風味がやや劣るといわれています。
また機械挽きに比べると、石臼挽きのそば粉は丸みのある粒子に仕上がり、周囲にデンプンをまとったおいしいそば粉に出来上がるのも魅力。
機械挽きよりもポリフェノールもが多く含まれ、そばの栄養を余すところなくいただける製粉方法ともいえます。
「風味と香りはそば粉で決まる!知っておきたいそば粉」はこちら
石臼挽きの機械化
このように利点がたくさんある石臼挽きではありますが、手で石臼を回して挽くのは骨の折れる作業。
大量生産しようと思うと膨大な時間と人件費がかかり、コストが跳ね上がってしまいます。
そこで、近代では電動タイプの石臼がよく用いられています。
これにより回転速度が自由に調節できたり、粗挽きから細挽きまで挽きわけができたりと、手間をぐっと軽減できるようになりました。
また、フルイ機が取り付けられているものもあり、挽いたそば粉をフルイにかける作業まで一貫して行ってくれ、効率的にそば打ちができます。
趣味でそば打ちされる際には、昔ながらの石臼を購入してそばを挽くのもまた楽しいもの。
時間はかかりますが、その分おいしさ格段アップです。
お店で食べられる際にも、石臼挽きのそば粉を使用しているかどうか一度注目してみてはいかがでしょう。