栄養価が高くて風味も豊か!田舎そばが好きになる

そば屋さんの屋号などで「田舎そば」という名称を見かけたことはありませんか?
実は「田舎で食べられるそば」というだけでない、明確な定義づけがあります。
田舎そばとそれ以外のそばの違いや、味わいや栄養価についてなど、田舎そばに迫ります!
田舎そばってどんなもの?
田舎そばとは、更科そばと反対に位置するそばのことを指します。
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更科そばは、そばの実を挽いたときにいちばん最初に出てくる「一番粉」と呼ばれる白い粉が原料。
そば独特の色のついた甘皮が混ざらないため白いそばとして仕上がるのが特徴です。
そばらしい味わいは少ないものの、ほのかな甘味と上品な食感が魅力。
高級感あふれる見た目なので、おもてなしの席などにも重宝します。
これに対して田舎そばに使用するそば粉は、一番粉から三番粉、または四番粉まで挽き込んだ「挽きぐるみ」と呼ばれるもの。
甘皮まで挽いているためそば独特の色がつき、そば特有の風味と香りに優れています。
更科そばが洗練された印象のそばであるのに対し、田舎そばは野趣に富んだ素朴なそば、ということになります。
田舎そばのひとつ「山家そば」
田舎そばとほぼ同義語「山家(さんが)そば」という名称もあります。
これは、江戸風の洗練されたそばに対して、農山村の無骨なそばという意味。
“山間にある家で食べる”という雰囲気を強調した名称となっており、田舎そばよりももっと朴訥な印象を演出します。
洗練されている江戸のそば、野趣に富んだ田舎そば・山家そば、どちらがいいということはなく、それぞれにそれぞれのおいしさがあります。
田舎そばは栄養価が高い!
そばは皮の下にある甘皮に栄養が多いため、甘皮まで挽いたそば粉を使う田舎そばは、栄養価が高いのが特徴です。
とくにルチンと呼ばれる栄養素が豊富で、血液の流れをスムーズにし毛細血管も丈夫にしてくれる働きがあります。
そばが高血圧や動脈硬化、コレステロールの抑制など、生活習慣病に対して効果的といわれるのはこのためです。
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代表的な田舎そば3選
田舎そばにはさまざまな種類があり、地方ごとに特色があります。
代表的な田舎そばをご紹介します。
出雲そば
そばの実を皮ごと製粉して仕上げる出雲そばは、田舎そばの一種であり日本三大そばのひとつです。
出雲そばには2つの食べ方があり、ひとつは丸いお重を何段か重ねていただく「割子そば」。
もうひとつが茹で上がったそばをそば汁とともに盛り付けつゆをかけていただく「釜揚げそば」で、そのどちらにも挽きぐるみのそばを使用します。
戸隠そば
信州の戸隠そばも、田舎そばの一種で日本三大そばのひとつ。
ひとつのざるに5、6束の馬蹄形状にそばを盛る「ぼっち盛り」がなされ、辛味大根を薬味にいただきます。わらびなど山菜の天ぷらが添えられることも多く、そば屋だけでなく家庭でもよく食べられるそうです。
越前そば
福井県嶺北地方で食べられるそばで、挽きぐるみのそば粉を使い強力粉をつなぎとして打ちます。
辛味の強い大根おろしを使い、ネギや鰹節、刻みのりをトッピングしていただきます。
すっきり上品な味わいで喉越しの良い更科そばか、力強いそばの風味が楽しめ栄養も豊富な田舎そばか、どちらがお好みですか?
お気に入りのそばを見つけることは、そば道の第一歩です!