
そばの薬味「大根おろし」!消化を促し胃もたれも軽減
そばの薬味にはネギやワサビのほか、大根おろしもよく用いられます。
ピリッと辛みの利いた大根おろしは、そばの風味をぐっと引き立ててくれる名脇役。
今回はそんな大根おろしとそばの関係、また大根おろしの栄養について迫ります。
そばと大根おろしは歴史が深い!
そばといえば、そばつゆにつけて食べるのが定番ですが、昔は味噌で作る「煮貫(にぬき)」と呼ばれるつけだれで食べるのが一般的でした。
そんな煮貫のつゆに合わせて食べていたのが大根の汁です。
1697(元禄10)年に刊行された書籍『本朝食鑑』では、
「近頃、世を挙げてそばを好み、大根汁の極めて辛いのが喜ばれている。それで各家では、争ってはなはだ辛いものを植えている」
との記載もあったようで、大根の汁が重宝されていたことがうかがえます。
時を経て1751(寛延4)年に刊行された『蕎麦全書』でも、辛味大根はそばの薬味として用いられていたと記されています。
このように、そばと大根の相性の良さは江戸時代から確立されたものだったようです。
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大根そば×そばの定番「越前おろしそば」
そば殻まで挽き込んだ風味の強いそば粉につなぎの強力粉を混ぜて茹で上げ、大根おろしをのせたり大根おろし入りのつけつゆで食べる、福井県の「越前おろしそば」。
農村漁村の郷土料理百選のひとつにも選ばれた、福井県を代表するそばです。
福井県でそば切りが食べられるようになったのは、現在の越前市(当時の府中)に、そば師であった金子権左衛門を伴って本多富正公が赴任したのがきっかけといいます。
このときに大根おろしを添える食べ方が始まり、広く一般化されたよう。
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なお「越前おろしそば」として全国的に広まったのは、昭和22年以降。昭和天皇が福井県に来られた際に大根おろし入りのそばを召し上がられ、皇居に戻られた際に「越前のそばは大変おいしかった」と懐かしみがられたのがきっかけです。
越前おろしそばの大根は、ピリリと辛みの利いた越前辛味大根を用いるのが一般的。
通常の大根より小さく、ころんと丸い形をしているのが特徴で、皮付きのままおろすとより一層辛くなります。
独特の辛みがそばの味や風味を高めてくれるといわれています。
大根おろしをは消化を促し胃もたれしにくい効果あり
現在ではほぼ1年中手に入れられる大根。
食べたい!と思ったときにすぐ購入できるのはうれしいところです。
大根には消化酵素がたっぷり含まれており、大根おろしにすることで消化酵素の効果を存分に取り入れることができます。
とくにでんぷん分解酵素であるアミラーゼは、炭水化物であるそばやうどんの消化を促し、胃もたれしにくく食後もすっきり。
そばやうどんだけでなく、お餅に大根おろしをかけて食べる「からみ餅」や、パスタに大根おろしを絡めて食べる「おろしスパゲッティ」などもおすすめです。
同じように、たんぱく質分解酵素であるプロテアーゼ、脂肪分解酵素であるリパーゼも豊富に含まれ、鶏肉の唐揚げにかけたりハンバーグにのせたりして食べると、消化を促してくれます。
また大根をすりおろしたり切ったりするときに生成される、イソチオシアネートという辛み成分もおいしさの秘密。
先端に近づくほどイソチオシアネートの量が多く、すりおろしてすぐの方がより辛みを感じることができます。
辛みが好きな方は、提供する直前に根に近い部分をすりおろして、大根のおいしさを堪能しましょう!
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大根おろしは冷凍保存が可能です。
一度にたくさんすりおろして、水気を切った状態で製氷皿やアルミカップなどに小分けして冷凍しておけば、薬味として使いやすいのでおすすめ。
もちろん、ラップで包んで密封袋などに入れて冷凍保存するのでもOKです。
使うときには自然解凍し、1ヶ月を目安に使い切りましょう。
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